ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
二歳からずっとおじいちゃんに育てられた私の幼い頃の遊びといえば、おじいちゃんの趣味でもある落語や詩吟、百人一首だった。

それが私にとって当たり前だったけれど、当然友達は違っていて、私は浮いた存在だった。


それでも私はおじいちゃんに教えてもらった遊びが好きだったし、唯一私の遊びに付き合ってくれる、お弟子さんのひとり、氷室さんのお子さんだったお兄ちゃんがいたから、自分が他の子と価値観が違うってことを、さほど気にしていなかった。


周りとは違う。そう気づいたのは、小学四年生の時だった。この頃になると、女子はハッキリグループが出来上がり、男子とはあまり話さなくなっていった。


そうなると私はますます浮いた存在になり、クラスメイトに言われたんだ。「すみれちゃんって変だよね」って。


その日を境にみんなから無視されたり、悪口を言われるようになった。「家がお金持ちだから、お高くとまっているんだよ」なんて、心ないことを言われ、両親がいないことも言われたりした。

学校へ行くたびに嫌な思いをし、次第に学校へ行くのが苦痛になるばかりだった。
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