゚*.。.あの虹に願いを .。.*゚
……すごい。

木々が繁っているかと思えば次の瞬間には視界が開けて、どこまでも広がる海から眼が離せなくなる。

花菜が再び弾むように言った。

「ねえこの景色ってさ、まるで小さな太陽の欠片が空から降ってきて、キラキラしながら海に散りばめられてる気がしない?!」

「うん、うん、する!七曲りの太陽はまるで魔法みたいだよね。お店見えてきたよ。頑張ろ!」

学校を出て20分程で、私達はようやく七曲りにあるお店に辿り着いた。

「すっごい汗なんですけど」

花菜が放心したようにそう言うと、理沙が建物の影へと入りながら眼下に広がる海岸に眼を細めた。

「自転車降りた途端に汗が吹き出るね」

「うん。あ、見て。空が暗くなってきた」

「わ、ほんと。風もなんか変わってきたね」

肌に湿気を含んだ風がまとわりついて、なかなか離れない。

いつの間にか、灰色の絵の具でベタ塗りされたような雲が、眩しかった太陽を隠し始めた。

「これは来るね、夕立」

「中入ろ。アイス食べたい」

「ん」
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