君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

大学に着くと、試験勉強をする為、優葉は7階建ての教育学部の講義棟に向かった。

そこの4階は、全て学生の自習室として開放されている。

優葉は403自習室へと足を運んだ。

「あっ、優葉!おはよう〜!」

「おはよう、優葉」

すると、見慣れた顔が二つあり、優葉を安堵させた。

篠村  晴夏(しのむら はるか)と、紗倉 綾子(さくら  あやこ)。

同じ教育学部に在籍する優葉の友人達だ。

英語科にいる晴夏とは、中学の頃からの幼馴染。

綾子は大学で、名簿の番号が近く仲良くなった。

「今日も暑いね!バスから降りたら死ぬかと思った! 優葉は車かぁ。あたしも早く免許欲しい!」

「晴夏。自動車学校、サボってないで行きなよ………」

「えーーー、それは勘弁!」

勘弁って…………。

晴夏と優葉が自動車学校に入校した日は同じなのだが………。

しかし、晴夏の天真爛漫な笑顔を前にすると優葉は何も言えなくなる。

綺麗に巻かれた明るいロングの茶髪。
二重の丸い目に卵型の顔貌。

そして、いつもフェミニンな服を好む晴夏は、まさに今時の可愛い女子大生。

それに対し、とても落ち着きがあり、服装もシンプル。

意思の強そうな切れ長気味の大きな目と高い鼻に、洋風の顔立ちをしているのが綾子だ。

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