君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「あ、ごめん。 電話が………」

優葉は、 和泉にそう言うと電話の相手を確認した。 そして、スマートフォンの液晶画面に表示された名前に………息を呑んだ。


ーーー橘 李人


「李人君………っ」

(李人君から電話がきてる………!)

思わず優葉は、嬉しくなり笑顔で李人の名前を呟いていた。

「ごめん、 瀬名君! 私、ちょっと電話をーーー、 !?」

そして、優葉は和泉に一言言い、李人からの電話に応えようとそこから立ち上がったーーーが。


「………アイツと、電話する気?」



「えっ………?」

ーーー気付けば、和泉にスマートフォンを持っていた右手首を力強く掴まれていた。

「ちょっ、 瀬名君………? 何? 離してっ………」

早く電話に出なければ、李人と話す機会を失ってしまう。
優葉はそう焦ったと同時に、なぜ和泉が、怒気をもった瞳で優葉の事を見つめ、 引き留めているのかまるで分からず混乱していた。


「………離さない。 アイツと電話なんてさせないよ?」



しかしーーーそんな優葉にお構い無しに、 和泉はまるで刃のような冷笑を浮かべていた。

その底知れない冷たさを帯びた和泉の笑みに………優葉は背筋が一気に寒くなるのを感じた。


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