君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
『ど、してっ………! 酷いよ、こんなのッ………! あまりに無情だよッ………』
和泉が唇を離した後ーーー、優葉は涙をその目に流しながら和泉を悲痛な面持ちで見た。
『………やっぱり、初めてだったんだ?』
『ーーーッ!!』
『残念だね?好きでもない男にファーストキスされて。 しかも、相手は生徒。 あーあ。………真面目な笹原先生は、アイツの前に立つ事すらできないね?』
しかしーーーそんな優葉の哀傷などその時の絶望に打ちひしがれた和泉には届かなかった。
『ーーーや、やだ、やめてっ………』
『言っただろ?………アイツを想うアンタなんて、壊れればいいって』
ーーーそれを言ったが、最後。
『いやあッ………!!』
優葉は、和泉を全身で拒否し、和泉の元から去っていったーーー。
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「どうすれば良かったんだよッ………」
和泉は、先程、自身が優葉に対してした仕打ちを思い出しながらーーーその拳を地面に思い切り叩きつけていた。
和泉が初めて、心から好きだと思った優葉には………想っている相手がいた。そして、その相手である李人も優葉を想っていた。
初めて恋情を抱いたその日に、粉々に砕かれた自身の想い。
和泉が、心から恨んでいた"若い女の教師"である優葉を想うことに、拒絶と罪悪感を抱くことをやめ意を決して自身の想いに誠実に向き合った矢先のこの残酷な仕打ちーーー。
とてもではないが、和泉は………まだそれを自身の中で優葉を傷つけず丸ごと受け入れる事は到底出来なかった。