君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

『………ッ、 ど、どうしてそんな酷い事ッ………!?』

優葉は、その和泉の言葉を聞くや否や、いつもの穏やかさは消え、和泉を強く非難した。

『………なぜかって? 教えてやろうか?』

しかし、平静さを失っている和泉はそう言い捨て、また冷淡な目して優葉を嘲笑うとーーー優葉をその胸に抱き寄せた。

『ーーーッ!?』

優葉は和泉から離れようとするが、和泉は絶対に逃すまいと優葉の腰を強く抱き寄せる。

(………前回、この女が俺の家に来た時はこの女が泣けば、腕を離すつもりだった。
でも、今は違う。 何があっても………この腕を離さない。 この女が例え狂っても、離しはしない。
この女が、橘 李人を想うのなら………いっそのことーーー)

『………ッ、ふっ………』

『………いいね。 もっと泣けよ。俺の言葉でもっと、傷付けばいい』

そして、そんな和泉の腕の中で嗚咽を漏らし始めた優葉だが、和泉はそんな優葉に対しても容赦なく言葉の刃を浴びせた。

『アイツを想うアンタなんて、俺で壊れればいいーーー』

(いっそのこと、俺で壊れて………それで、アンタを壊した俺をその心の中に刻みつけろーーー)

『………ッ、 んッ………!』

そう思えば最後、和泉は優葉の唇を奪っていたーーー。

ーーーどんな形でも、優葉の心に自身を李人よりも住まわせるように。

そして、優葉が二度と李人の元へ行けなくなるほど傷付くことを願ったーーー。


< 142 / 660 >

この作品をシェア

pagetop