君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
李人は、昔から優葉の気持ちの変化に気が付きやすい方だった。 優葉と李人は物心ついた時から一緒にいるため、李人は優葉の性格を充分熟知しているからだ。
そんな李人の前でーーー優葉は、和泉との事を隠し通し、平然と振る舞える自信など無かった。
ましてや、それ以前に和泉とキスをした優葉が………李人に会い、しかも気持ちを伝える資格などないとまで優葉は思い始めていた。
(李人君が、好き………。気持ちを伝えたかった………。けど………瀬名君とキスした私は………もう、李人君を好きでいる事なんて出来ない………)
「ッ………ーーーううッ………」
そう思えば、一気に悲しみが沸き起こり、優葉の涙は止まらなくなった。
その時、もう一度、優葉の自室のドアが叩かれた。
「………優葉? ちょっと良い? 」
ドア越しの相手は、また小春であった。
「………お母さん………」
「優葉、起きてたのね。 良かったわ………」
小春は、優葉の声を聞くや否や、安堵したようにそう嬉しそうに言った。
そのような小春の声を聞き、優葉はここ数日、優葉の事を案じていた小春に何の一言もかけなかった事を後悔した。
そして、優葉は思い切って涙を両手の平で拭くと自室のドアノブに手をかけた。
「………ごめんね、お母さん。 今、開けるね………」