君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

やがてーーー李人からの通話は途絶えたが。


"今から優葉の家に行くから"


"絶対、家にいること。家にいないなら今すぐ帰ってきて。 いいね"

「ッ、えぇッ!?」

李人から、すぐに優葉へとメッセージが送られ、優葉は再び焦燥感へ駆られる羽目になった。

(ど、どうしよう………。 もうとっくに夜だし、 今から出かけるっていったってここら辺のお店はとっくに閉まってーーー)


ーーーその時だった。

「誰かしら? ちょっと待ってください〜! あらっ!? 李人君じゃない!」

「こんばんは、小春おばさん。遅くにすみません。 優葉いますか?」

玄関先の方から、インターホンが鳴る音がしーーー小春がインターホン越しに李人と会話する声が聞こえ、優葉はサァッと青ざめた。

(まさかこんなに早く李人君が来るなんて………!撮影場所のN市からは車で一時間近くかかるはずなのに………!)

そう思い、慌てて李人を中へ招き入れぬよう小春を説得させようと自室を飛び出した優葉だったがーーー

「………優葉、やっぱりいたんだね?」

ーーー時、既に遅し。


優葉が、玄関先に向かった時にはもう小春が穏やかな微笑を浮かべた李人を家へと招き入れていた。


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