君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
"行こうか"と提案しながらもーーー李人の口調は優葉に選択の余地は与えていない強いもので
「………はい………」
優葉は、脱力しながらそう返事をし、頷くしかなかったーーー。
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「おかえり、李人………、あらっ、 優葉ちゃん! どうしたの? こんな遅くに」
ーーー李人の実家に着くと、今度は小春の姉で、李人の母親である夏子が優葉と李人を迎え入れた。
小春と夏子は、顔立ちはさほど似ていないのだが、 春と夏という名前に入っている季節が示すように明るくオープンな雰囲気と丸く大きな目がそっくりだ。
優葉も目は、小春や夏子に似ていると親戚や近所の人に言われる事が多い。
ちなみに優葉の実家から、北へ3分ほど真っ直ぐ歩くと正面から見て左手にあるのが李人の実家だ。
「ちょっと、優葉と話がしたくて家に連れてきたんだ」
「こ、こんばんはっ………」
李人が上京して以降、 優葉は自身の実家で夏子に会うことは多かった。
しかし、李人と鉢合わせるのを避けていた為、李人の実家で夏子に会うことが長年無かった優葉の声は無意識に震え、緊張しているのが丸わかりであった。
そんな優葉を見て、クスリと李人は微笑んだ。