君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「あ、ありがとう………」
「ごめん、滅多に帰らないから散らかってて。 俺の勉強机の椅子に座って?俺は、ベッドに座るから」
「う、うん………」
優葉は、そう言われ頷き、座りはしたもののーーー李人の部屋に李人と二人きり、ということもありどうしても落ち着かなかった。
李人の部屋は6畳ほどで、床には、 涼しげな淡い青とベージュカラーのウィルトン織のラグマットが敷かれている。
そしてドア正面から、すぐ右側には黒のノートパソコンや、沢山の台本などが置かれたラック付きのホワイトの学習机とグレーの肘なしキャスター付きのデスクチェアがあり、優葉が座っているのは、それである。
その左側に李人が腰掛けているグレーのシングルベッドが設置されている。その先には、ベランダに出る為の大きなテラス戸がある。
その殆どが優葉が李人が上京する前に見たままのものでとてもシンプルだが、整理整頓された部屋だ。
ーーーその李人の部屋の変わり様の無さが、 余計に李人の部屋にいるのだということを優葉に実感させ、緊張させる。
(ど、どうしようっ………。 これから、李人君に何を聞かれるかも分からないし、頭が、パニックになりそうっ………)