君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「………それで優葉、何があったーーー」

「な、夏子おばさんと、 哲哉(てつや)おじさんはっ?」

頭の中が混乱状態にあった優葉は、どうにかして自身の問題から李人の意識を逸らそうと必死に、別の話題を李人にふった。

ちなみに李人の父、哲哉(てつや)は優葉達が住む地区の消防組合に所属する消防士で、夏子は、専業主婦だ。

「母さんは、 父さんに夕食の弁当を届けにいったよ。 今日は、当番の日だからね」

「そ、そっか………。消防士はやっぱり、大変だよね………」

「ああ。何事も無ければいいけど。 それよりも優葉ーーー」

「あっ、き、今日っ、お母さんと久しぶりにR町交番近くのトンカツ屋さんに行ったの! 相変わらず美味しくて、びっくりしちゃったっ………!」

「………優葉」

「あっ、ねっ、ねえ、李人君っ………。今、あのドラマ面白いよねっ………、李人君とも共演してた俳優さんが出ててーーー」

「ーーー優葉ッ!」

「ーーーッ!?」

李人は、優葉に対しーーー今までに優葉が聞いたこともないような大声を上げ、必死に喋っていた優葉の言葉を遮り、優葉の両手を掴んだ。

「………ごめん。 大声を出して」

「っ、李人く………」

「………優葉。何かあったんだろ? ずっと………俺に連絡しなかったのもそれが原因?お願いだから、言葉で誤魔化さないで。
………お前が心配なんだよ、優葉」


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