君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

李人は、そう言って、優葉の両手を更に強く握りしめ………どこか切なげに揺れる瞳で優葉を見ていた。

「ーーー………ッ」

その李人の瞳から、優葉を心から気遣う李人の思いが痛いほどに優葉へ伝わった。

そして掴まれた手の平から伝わる李人の温もりに………優葉の胸はこれでもかというほど締め付けられる。

しかしーーー

「だめっ………。言えないっ………」

優葉は………小さく声を震わせながら、そう李人に呟いていた。

「ッ、 優葉ッ、 どうしてーーー」

「駄目なのっ………!どうしても駄目なのっ………! 知ったら、きっと李人君っ………私に幻滅するっ………」

気付けば、優葉はーーー涙を流しながら李人にそう訴えていた。

(幻滅されたくない………! 瀬名君と………生徒と、キスをしたなんて………李人君に知られたくないっ………)

「お願いっ………!李人君に、嫌われたくないのっ………! だからっ………何も聞かなーーー !?」

ーーーそれは、突然だった。

泣きじゃくっていた優葉の腕を李人は、引っ張り………立ち上がらせると優葉を強く抱き寄せた。

「………ッ、り、ひっ………」

あまりに想定外な李人の行為に、 優葉はその場に固まってしまった。


そしてーーー李人は優葉の耳元で低く、こう囁いた。

「………あまり、俺を見くびらないでもらえるかな?優葉」




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