君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


しばらくして、川野スクールの正面玄関が開いた。

そこに立っていたのは、一人の少年。

(わっ………)

優葉は、その少年を一目見た途端、息を呑んだ。

身長は175センチ程の細身で、白のワイシャツに黒の長ズボンといった制服姿だった。

襟足が長めのショートウルフの髪型に、卵型の小顔。

少し鋭さのある大きな二重の目に鼻筋の整った鼻と、まるで彫刻のように均一な形をした綺麗な唇。



まさに誰もが目を奪われる美少年ーーー。


(李人君もかなりの美形だけど、この子も凄く綺麗な顔立ちだ………)

「笹原先生!この子が今日、体験授業を受ける瀬名 和泉(せな いずみ)君だよ。挨拶をお願い」

ふと、佐倉の声が聞こえて優葉は我に帰った。


「あっ、は、はい!初めまして、瀬名君。今日、担当する笹原 優葉です。よろしくね」

優葉はそう言って、他の生徒と同様、挨拶も兼ねて和泉と握手を交わそうと笑顔で右手を差し出した。


「結構です」


しかし、和泉はそっけなくそう言うと優葉の右手を払いのけた。


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