君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「私、らしく………?」
「えぇ。 あなたなら、きっとそれで大丈夫です。 気を付けて行ってきてくださいね」
「………ありがとうございます」
(私らしく………瀬名君と接していけばいい、か)
田倉に再び、頭を下げながら優葉は田倉の言ったことを心の中で反芻(はんすう)した。
(間違えて………なかったのかな? 私が瀬名君の悩みに………、心に寄り添おうとしたこと。 それは………瀬名君の心を少しでも楽にしていたのかな?)
田倉から見て、それが見えていたのなら………間違いはないのかもしれない、と優葉は思い自身の心の重荷がほんの少し軽くなったのを感じた。
しかしーーー
(まだ………分からない。 どうしてもあの日の瀬名君の真意が見えない………。 そして、 私もこれから瀬名君とどうあるべきか………心の整理はついてない。 だから………やっぱり、東京に行かなきゃ。 瀬名君は大事な生徒だから………。)
まだ、和泉との事に対する葛藤は優葉の心中に深く残っており………優葉は、和泉の"教師"として和泉とのこれからを真剣に東京で考える決意をした。
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ーーー9月初旬 東京 池袋駅
「優葉………、 まだかな?」
時刻は夜の22時過ぎだが、まだ賑やかに人々が駅構内を通り過ぎる中、李人は優葉が改札口から出てくるのを今か今かと待っていた。