君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
『………はいっ………』
そして、優葉が今までに李人が見たことがない程嬉しそうに顔を綻ばせそう返事をしたのを見れば、李人はその感情の赴くままに 優葉を再び抱き寄せ何度も愛の言葉を囁いた。
ーーー初めて、優葉の想いを知った夏の夜。
李人は、それまでに感じた事のない幸せで満たされていたーーー。
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"新着メッセージがあります"
李人の意識を優葉と想いの通じ合った日から、呼び戻したのはスマートフォンによる無料通話アプリからの通知音だった。
"お疲れ様、李人君。池袋に着いたよ"
差出人は優葉でそのメッセージと共に顔を赤らめ微笑む絵文字が添えられており、李人の頰は自然と緩む。
(………早く会いたい)
そう切望しながら、李人は優葉が改札口から出てくるのを今か今かと待ちわびた。
まだ、優葉に片思いで、俳優としての芽もそんなに出てなかった頃も、李人は常に優葉を想っていたが………こんなにも、優葉に会いたくて堪らなかった日は無かった。
(何故だろう………。 両思いになったのに)
そう思い、李人は思わず苦笑した。
両思いになり、恋人にもなったのだからそんなに焦らずとも………優葉は、これから李人と共に歩んでいくのだ。
会いたいと李人が願えば………、その想いを優葉と分かち合いたいと思えば………、 優葉はこれからは、いつでも何のためらいもなく李人とそうするだろう。