君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

(だから………今度は、俺の番か)

優葉が、夢を叶える為の試練をそれを超えられるように今度は李人自身が優葉を支えていく。

例え、和泉という優葉を想う男がそこに立ちはだかったとしても………、李人を好きだと言った優葉を信じ、 優葉と和泉の結末を待つしかない。

「………優葉に会えるのは、嬉しいけど。 ーーー思ったよりも、キツイ戦いになりそうだ」

(優葉にとっても………、俺にとっても)

そう言って、李人はまた悩ましい溜息をついたーーー。



ーーーーーーーーーー

「ーーー優葉」

優葉が池袋駅に着くと、 帽子を目深に被っており、その顔を判別するのに時間がかかったものの………すぐ様、声で李人だと分かり、優葉の胸は熱くなった。

和泉の事に対する気持ちの整理をつける為、思い切って、埼玉から東京までやって来た。

「………李人君っ」

優葉は、李人の穏やかな笑顔を見るや否や、ホッと息をついた。

優葉は、何度か東京に来た事はあるものの、その殆どは観光や遊びでせいぜい一日か二日の滞在であり、今回のように長期に渡って東京にいるというのはまず無かった。

更に、和泉の事や明日から始まるインターンシップの事もあり、池袋に着くまでは無意識に優葉は気を張らせていたのだが………李人の顔を見れば、それも一気に和らいだ。


< 189 / 660 >

この作品をシェア

pagetop