君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


目の前にいる生徒自身の事を知りたい。

それは、教師を目指す優葉にとっては当然の欲求で、決して欠けてはならないものだった。

なので、自然と強気な態度になる。


「………面倒くさい女」

和泉は、優葉に吐き捨てるようにそう言った。 そして、変わらず鋭い冷たい視線のまま

「………初めまして。これで良いんだろ? さっさと授業始めてよ」

そう言って優葉に歪んだ笑みを見せた。


(これは………、凄く長い勝負になりそうだ)

瀬名 和泉という恵まれた環境にいながらどこか歪んでいる印象のある少年。

彼を知るには、長くて険しい道のりが待っていると優葉は思った。

「………うん、いいよ。でも今のは20点かな? 次回からは私に笑顔でこんにちはって挨拶をできるようにね」

「………ケンカ売ってくるね、アンタ」

「………そう? とにかく、瀬名君。こちらへどうぞ」

(………負けないよ)

生徒一人一人をきちんと丁寧に見れる教師になりたい。

だから例え、政治家の息子だろうと関係ない。負けずに彼に食らいついていく。

優葉はそう決心した。

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