君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

ーーーーーーー

「きたーーーッ!! 夏休み!!」

真夏の空、晴夏が大声で叫ぶ。

夏休みになった優葉達は、約束通り三人でキャンプ場へ来ていた。

何事かと近くの家族連れに訝しげな目を向けられるが、晴夏はおかまい無しでニッコリ笑顔だ。

(いつも、晴夏は明るくて可愛いなあ)

優葉は、そう思い晴夏を見た。
晴夏は、容姿も凄く愛らしいのでよくモテる。

現に、 丁度、優葉達の向かい側のバンガローにいた男子大学生の集団が近付いてきた。

「君、超可愛いね!!」

「大学生? お友達も可愛いじゃん!夜、一緒に飲もうよ」

「えぇ? どうしよっかな?」

首を傾げ微笑む晴夏に、大学生達は「おおっ!」と声を上げる。

(全く晴夏は…………)

晴夏は今は彼氏はいないが、昔から多くの男性と付き合ってきた。

どの仕草をすれば男性が喜ぶか晴夏はよく分かっている。

(小悪魔だなあ………)

同級生の彼氏と別れ、早3ヶ月。
晴夏は 新たに彼氏が欲しくなったのだろう。

「………晴夏の狩りが始まったわね」

「そうだねえ………」

優葉は、綾子と共に軽いため息をついた。
< 21 / 660 >

この作品をシェア

pagetop