君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

ーーー"彼"をあのような結果になるまで追い詰めたのは和泉自身だ。

そう思えば、和泉は前にも増して笑えなくなった。

"彼"をあのように追い詰めた後、和泉は友人と今までのように何事もなかったかのように談笑するのを躊躇った。

そして、次第に友人らとは距離ができ、それから親しい友人はできなくなった。

和泉は教師も信用できなくなり、反発的な態度ばかりを取るようになった。

"彼"がいなくなった後、和泉に残されたものは………孤独と共に行う"彼"への贖罪と、 女性特に、若い女教師に対する病的なまでの嫌悪感と憎しみだったーーー。

「昔は、 そうだった………。けど、今は違う………」

「和泉………」

「俺は………償わないといけない。そして、 俺は誰とも深く関わってはいけないし、関わらない。
特に教師や女なんかまるっきり最初から信用しない。特に若い女教師なんか 傷付けられるんなら、 とことん傷付け、憎みたい………。 なのに」


"ーーー瀬名君! "


そう、有華に胸の内を明かした途端………和泉の頭によぎったのは、 和泉の名前を柔らかな笑顔で呼ぶ優葉の姿だったーーー。
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