君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
そう言い、 有華はニカッと今度は少年のような笑みを浮かべると、近くにいた店員に"ウィンナーコーヒーとビーフシチューを"と注文を頼んだ。
その有華の明るい笑顔は、昔から何ら変わっていなかった。
「………変わんないんだな。 有華さんは」
思わず、ポツリと和泉がそう呟けば有華は、改めて和泉を真摯な眼差しで見つめた。
「………変わりすぎ、 和泉は。 "あれ"があってから」
「………ッ」
「………今日、それがよく分かった。 ………和泉は一見、ツンとしてるけど、誰よりも優しくて家族思いの子よ。 "あれ"があって、誰よりも一番傷付いて………全てにおいて縛られてるんだから。
それが、和泉の変わりすぎの原因。 昔はもっと、よく笑って………私達の親戚はともかく私や同級生、先生なんかは少しは信用してたでしょ?」
そう有華に言われ、和泉は記憶を遡った。
物心ついた頃から、 いつも政治家になる事を課し、世間体を気にして様々な分野で完璧を和泉と"彼"に求めた両親は和泉にとって、 重荷で、次第に憎たらしい存在になった。
しかし、両親の束縛から解放され学校へ行けば、それなりに友人もおり、信用できる教師もいた。
有華も幼い頃から和泉や"彼"と親しくしてくれ、和泉も有華に懐いた。
………しかし、"彼"がいなくなり和泉の全ては変わった。