君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………好きな女が、 できた」
気付けば、 有華にそう微かな声で言っていた和泉は………自身だけで優葉の事を抱えすぎるにはもう限界だったのだと感じた。
和泉は、拙いながらも優葉の事を有華に説明した。
最初は憎むべき女教師で、 余計なお節介をやく優葉がとても煩わしかった事。
しかし、和泉を生徒として深く思い、 何があっても和泉の味方になり、和泉を昏い過去から救おうとしていた優葉に次第に惹かれ、気付けば後戻りできないほどに好きになっていた事………。
そして、 "彼"のことがあり葛藤しながらもやっとその想いを認めたすぐ直後に、優葉と李人が両思いだとわかり、優葉を傷付けてしまった事。
優葉を忘れたいのにーーー忘れられない事。 どうしたって、 優葉を想ってしまう事………。
「………血は、 争えないってやつ。 結局、俺も………同じ。 教師を好きになった………」
「和泉………」
「ったく、笑えるよ………。 何で、同じ事繰り返してんだって………。 アイツと同じ………もう、俺もどうしたら良いか分からない。 分からないんだ………」
そう言い、和泉は瞳をふせ頭を抱えた。