君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………良かったわ」
しかしーーー有華からでた言葉は、和泉が思いもよらぬものだった。
「ーーーッ、 どこがだよ!? こんなッ………こんなッ………情けない感情のどこが良いんだよッ!?」
有華の言葉に和泉はその場から立ち上がり思わず激昂した。
そんな和泉を見、 有華は一瞬目を丸めたが、すぐにその表情を引き締めた。
「………ごめんね、和泉。 言葉が足りなかった。 説明するから座って?」
そう言い、有華は何事かという風に和泉と有華を見た客にも"お騒がせしました"といい小さく頭を下げた。
しかし、まだ有華の言った事に納得しない和泉は、何も言うこともないまま再びその場に座る。
「………和泉。確かに………その好きな人に、 相手がいるって分かってとても辛かったっていうのは分かる。それで、和泉がとても苦しんでるのも、理解してる」
「ああ、そうだよ。 だったら、何でーーー」
「でもね、私は………"あれ"があってから誰も信用せず、寄せ付けず、噛み付いてばかりだった和泉が………またこんなにも誰かの事を深く思う時がきたんだって分かって………凄く、 凄く嬉しかった」