君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


「懐かしい………」

早くバンガローへ戻ろうと早足になる中でも、優葉は思わず辺りを見回し、懐かしさにその身を寄せた。

緑豊かな風景とそれに伴った木の香りが漂い続ける。

「………李人君とキャンプに来た頃と何も変わってない」

李人とこのキャンプ場で過ごした日々を思い出し、優葉の胸は締め付けられた。

(もしも、もう一度………李人君と過去に戻って、一緒に綺麗な星空を眺めることができたら………)

無意識のうちにそう思ってしまう自分自身に優葉は思わず笑ってしまった。

「そんな事………あるわけないのに」

人気イケメン俳優の李人と優葉では、いくらイトコ同士とはいえども立場が違いすぎる。

なので優葉は、晴夏や綾子のように身近にいる男性と恋愛をすれば幸せな恋ができると頭では分かっている。


ーーーそれでも、どうしても李人の事が好きなのだ。

イトコであるのに………優葉の周りにいる誰よりも遠い所にいる李人のことが。

そんな自分に優葉は呆れた。



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