君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


駐車場に着くと、優葉は綾子のスマホを取り、運転席の扉を閉めた。

「戻らなきゃ………」


そう思い、優葉はふと顔を前に向けた。


「つーーーか、買い物ってここ辺スーパーあるの?」

低めの男性の声がし、優葉がその方角に思わず目を向けた時だった。

「………!!」

優葉は、自分の目を疑った。

前方には、正面から車体を突っ込み停車させているワゴン車がおり3人の男性がいた。

そしてその助手席に乗ろうとしている男性の後ろ姿が………李人そっくりだった。

「り、李人君………?」

慌てて優葉はワゴン車を追おうとした。しかし、車はあっという間にその場を去ってしまった。


「そ、そんな………」

あっという間に去ってしまったワゴン車を優葉は落胆の表情で見つめた。

まさか李人がここにいるはずがない。

けれど………、李人にあんなにも背格好がそっくりだなんて信じられなかった。

優葉は李人の事をずっと見てきた。

なので、その姿だけは後ろ姿だろうと見分けられる自信がある。


「ッ、李人君………?」

(あなたは………ここにいるの?)

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