君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
そんな淡い期待を抱きつつ、優葉は急ぎ足で晴夏達の元へ戻った。
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「………は、優葉っ! ぎ、牛肉焦げてるっ!」
「っ、え!?」
優葉は晴夏の声で、今が夜でバーベキュー中だと気が付いた。
「ご、ごめん………」
「いや、良いんだけど………。 大丈夫、優葉?昼からずーーーっとその調子じゃない?」
「確かに! 具合悪い?」
晴夏と綾子が心配そうにそう優葉に尋ねる。
確かに、優葉は李人らしき後ろ姿を見た時から気が気でなかった。
現に、何度もその時の事を思い出していたが。
「………大丈夫!少し暑さにやられたかな」
まさか、イトコで人気俳優の李人を見かけたかもしれず、好きなので李人の事ばかり考えてしまうとは言えなかった。
というのも、綾子には、そもそも李人の存在を話していない。
晴夏は中学から一緒の為、優葉と李人の関係を知っているが、優葉の想いは知らない。
「そうだったの?それなら、遠慮しないでいつでも部屋行ってていいからね」
「そうよ、無理しないで」
「ありがとう………」
(ありがとう………二人共。そして、嘘ついてごめんね)
秘めた想いを持つ事に罪悪感を感じながらも優葉は何とか微笑んだ。