君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「………どうして、 なの?」

晴夏は俯き、 声を震わせながらそう呟いた。

(どうして、いつも、いつもーーー)


「優葉ばっかりなのよッ………!」

(橘君は、出会った時からずっとッ………)


そう思ってしまえば、 最後。
晴夏の意識は中学時代へと戻り始めたーーー。



ーーーーーーーーーー

ーーー6年前

時は、晴夏達が中学一年生の時に遡る。

「きゃーーーっ! 見て! あの子!」

「めっちゃ、カッコよくない!?」

「あの子、知ってるよ! 橘 李人君! 小学校から有名だよ! めっちゃカッコよくて、誰にでも優しいんだって!マンガの "あなたに届け"の人みたいって皆んな言ってる!」

入学して、すぐ李人は学年問わず多くの女子で噂のまとになっていた。

確かに晴夏の目から見ても、李人は並みのモデルやタレントに引けを取らない、爽やかな雰囲気の美少年だった。
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