君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
その頃、 晴夏と優葉は同じクラスであるもののけして仲が良くはなかった。
というよりもその当時、優葉は他のどの女子生徒とも、親しくはなかった。
その理由はーーー
『笹原さん?だっけ? あの子、 なんか橘君と親しくし過ぎじゃない? 一人だけ、橘君を独占してる〜みたいなドヤ顔してさ。 地味子のくせにムカつくんだけど』
『いくら従兄弟だからって、 橘君の事好きな子沢山いるんだから、でしゃばるのやめてほしいよね〜』
李人と優葉が一緒にいる事による女生徒の嫉妬心だった。
優葉の陰口は勿論あった。そして、どこの女子グループにも優葉は無視をされていた。
小学校から、優葉と親しかったであろう女子生徒も例外でなかった。
というのも、李人を好きな所謂、スクールカーストと呼ばれる階層の最上位にいる女子生徒達に目を付けられる事を恐れ、優葉から離れていったのである。
一方の晴夏はその美しい容姿と、一年にしてテニス部レギュラー、 英語をはじめ成績優秀だった事から当時はスクールカースト階層の最上位にいる女子グループにいた。