君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

そう言われた瞬間、 今まで穏やかだった李人の顔色が変わった事に晴夏は気が付いた。

『………良かったよ』

『何がだよ』

『………お前や他の男子が、 優葉を地味だと思ってくれて良かったよ』

そう言い、李人は微笑んだが………それは、どこか冷ややかなものだった。

『………はぁ? 』

李人の言葉の真意が分からず、 混乱する彼氏など、晴夏の眼中には最早入っていなかった。

(橘君なら、きっと………)

ーーーその時だった。

『………篠村さん? 』

背後から急に声をかけられ、 晴夏は振り向いた。

『笹原さん………』

そこには、優葉がいた。
晴夏は、思わず優葉を凝視した。

おさげ頭で、 校則通りに制服を着ている優葉はやっぱり、地味な優等生だった。

顔もよく見れば、瞳は大きく、肌も白く綺麗なためけして悪くはないが、やはり李人の従姉妹と言われれば不足感は否めなかった。


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