君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
"………大丈夫だよ。 そんなに焦らなくても"
和泉が、告白してから初めての授業で、優葉は進路について頭を抱える和泉を見、そう優しい声で言った。
"確かに、 高校卒業してからの進路って、 その後の将来に繋がる大切な段階ではあるけど。
例えば、数学が得意だから、理系の大学選んだとか。 文学に興味があるから、とりあえず、文学部とか。 そんな漠然とした理由で進路を決めてる人も沢山いるんだよ"
"へぇ………。 そんなもんなの?"
"うん。 だから瀬名君も、まずは将来かけてやりたい事………とか。 大きなことはひとまず抜きにして。
自分がやってて楽しい事や、興味がある事みたいな、何か自分が心が動きそうなものを見つけたらいいよ"
そう続けて言われ、和泉は納得し、とりあえず、 自分が何をしていて楽しいか、など考えたりした。
そして、分かった1つのこと。
和泉は、政治家にはなりたくない。
それだけは、紛れも無い事実だ。
しかし、 それ以外の進路………といっても、全く思いつかない。