君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

そして、 その中のとある男子生徒と目が合い、和泉の胸はビクリと大きくはねた。

その男子生徒は、 和泉が中学の頃からの同級生だった。

櫂がいなくなる前までは、それなりに仲が良かったのだが、その後は和泉の方から一方的に距離を置いた。

そんな人物の1人だ。

(アイツも来てたのか………)

そう思い、バツの悪い思いに駆られながらも、和泉は彼を通り過ぎようとした………が。

"信頼できる人を見つけて"

不意に優葉の言葉を思い出した和泉は、その場に立ち止まった。

(いいのか………? それで)

もう秋も半ばだ。卒業は、もう目の前にある。

今ここで通り過ぎてしまえば、それこそもう彼と話す機会は無くなってしまうのではないか。

かつて、友人と信じた彼らと。

本当はずっと、話したいと。
また、中学の時のように仲良くしたいと願っていたはずなのに。



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