君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「………遼馬(りょうま)」

気が付けば、和泉はその背中に声をかけていた。

彼ーーー、萩野 遼馬(はぎの りょうま) は中学と比べ、少し大人っぽくなっていた。

しかし、少年っぽいやんちゃな雰囲気と、 丸い瞳は変わっていなかった。

「………和泉………?」

そして、 驚きをもって振り向いた遼馬を見、和泉は緊張しながらも口角を上げ

「久………しぶり。 今、話せるか?」

そう、震えた声で言った。

(………引かれたか?)

和泉はそう思い、急に怖くなった。

勝手に、距離を作っていきなり消えた友人に、また突然声をかけられたのだ。

引かれて、嫌な顔をされるかもしれない。黙って、その場を去られてもおかしくない。

そう思ったーーーが。

「………ンだよ! お前、そんなしおらしいヤツだったっけ? 声ちっさすぎて、 ミジンコに話かけられたと思ったわ!」



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