君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「彼女にも、お前にも………俺は教えてもらうことばかりだ。
自分が、どんなに何も知らずにいたか今になってやっと分かった。
だけど………絶対に教えてもらったことはやり遂げる。
そして、約束する。これからは………二度と遼馬達の前から勝手にいなくなったり、逃げたりしない。
中学の時以上に、お前たちを大切にする。だから………、頼む」
和泉は深く遼馬に頭を下げた。
ーーーいつも崇高で、何事も自分のみを信じ続ける、頑固な和泉がここまでするとは。
(何者なんだよ………。和泉の好きな女って)
遼馬は、そう思いまだ見ぬ優葉に興味を抱いた。
しかし、すぐにここまで自分に対し真摯に再び向き合ってくれた和泉に何とか答えようと言葉を探り始めた。
(俺もそんなに偉い人間じゃない。………けど)
「………和泉、顔あげろよ」
「………遼馬」
「………言っとくけど、俺もそんなに大した人間じゃねーし。自分の経験でしかないから、参考程度にしておいてほしい。
それでも良いなら、話す。俺も、お前とはこれからも仲良くしたいから」