君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………ありがとう、遼馬」
「和泉?」
「ーーー俺にもあったよ。憧れが」
そう言い、和泉は明るい笑顔を見せた。
「マジか!教えてくれよ、お前の憧れ!」
そんな和泉を見、遼馬は和泉が進路に対して、良い答えを導き出せたのだと思った。
「………でも、正直まだ迷ってる」
しかし、和泉は神妙な面持ちでそう言った。
「え? 何で?」
「確かに、憧れはある。俺は………それに救われたから。感謝してもしきれないくらい。でも、櫂兄さんは………それに、一番傷付けられた」
「そうか………」
「………でも、ここで止まったら何も始まらない。
俺はいつも、櫂兄さんのことで立ち止まってばかりだった。
けど、もう決めたから。アイツを………、好きな女を幸せにするって。
そのためには、憧れでも何でも目標をもって、進むしかないんだ。そう約束した。
だから、とりあえず聞いてみることにする。それで、アイツが幸せそうに笑ったなら………今思ったものを、何が何でも目指す」