君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
和泉は、その答えにたどり着いたのが信じられなかった。
しかし一度思ってしまえば、それの他に憧れとして、そして、目標として見当たるものなど何一つなかった。
「………ありがとう、遼馬。本当に、お前のおかげ。
お前が今ここで俺と話してくれなかったら、この答えにたどり着かなかった。
また、聞いてみた後に進路を報告させて」
和泉が、素直にそう感謝の言葉を伝えれば遼馬は大きく笑った。
「それは嬉しいねえ。クビを長くして待ってるからな!
てか、和泉!俺はお前にとって大事な大事な進路に関わった功労者だ!
だから、もっとこれからは崇めよ?俺を!」
「………へえ。だったら、仏になるわけ?」
「なっ、勝手に死なすんじゃねーよ!」
「ハハッ」
そう軽口を叩く和泉と遼馬の間には、中学と同じような穏やかな空気が流れていた。
そして、和泉はまた一つ心が軽くなったような、そんな気がしていた。