君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………それにしても」
そう言うと、有華は赤く染まったローズヒップティーを一口飲んだ。
「驚いたわ。ーーーあの和泉が、そこまで一人の女性に心動かされるなんて。
やっぱり、よっぽど好きなのね? その先生のこと」
「………好きだよ。 じゃなきゃ、こんな結果になったりしないでしょ?
彼女みたいに、悩んでいる生徒を救いたいと思った。 だから、先生になりたいだなんて。
そんな綺麗事の言葉、大嫌いだったのに」
そんな言葉とは裏腹に、和泉の表情はとても柔らかかった。
(全く………。 よっぽどその彼女にまだ夢中ね。ーーーでも)
「………そうね。可愛いイトコの夢のために、地盤は譲られてあげるわよ」
「何だよ、その言い方」
「………でも、和泉」
「ん?」
「ーーーあなた、それで良いの? 優葉さんだっけ?
彼女には、カレがいるんでしょう? それなのに、大学も彼女と一緒の教育学部志望なんて。
もちろん、和泉が先生になるのは賛成よ。だけど………、そこまで彼女と一緒にいるのって、和泉が苦しくなるんじゃないかって思うの」