君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

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「………で、あたしのところに来たってわけね」

ーーー 一週間後。

和泉は、土日を使いある人物の元を訪れるために東京へと足を運んでいた。

「でも、有華さんにとっても悪い話じゃないでしょ?」

それは和泉の従姉妹である有華であった。

「もちろん、悪い話じゃないわよ。
あたしの実力で取れなかったっていうのがムカつくけど。

けれど、これも運ってことでチャラにしてあげる。あくまで、あたしの運ってことで」

「譲らないね、そこは」

「そりゃそうよ!政治家になるっていうのはあたしの夢よ?そこに関わることは強気でいかないと。

例え、あなたにおじさまの地盤を譲られた形でもね。 和泉」

そう言い、有華は形の良い唇で美しく微笑んだ。

ーーー和泉が有華に交渉していたこと。

それは、和泉が継ぐはずであった父親の政治地盤を有華に譲ることであった。


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