君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

和泉は、初めての父への感銘とともに深く頭を下げたのだったーーー。 


ーーーーーーーー 

「ーーー先生」

和泉が、教師になれた経緯を思い出した所で後ろから声がした。 

「瀬名君っ………!」

真新しいスーツに身を包んだ和泉がそこにいた。 

その姿を見れば、改めて優葉は和泉が教師になる第一歩を踏み出せたのだと実感し………胸があつくなる。

「入学………本当におめでとう。 瀬名君」

「………ありがとう、先生。 ………てか、どうして先生が泣きそうなの?」

「………っ、えっ!?」

和泉に指摘され、優葉は思わず自分の目の辺りを指で拭った。

そこにはうっすらと涙の滴があった。 

(確かに、あまりの感激で泣きそうにはなったけれど………、まさか気が付かれるなんて………)

「っ、こ、これはっ! 花粉症だからっ」

(瀬名君の合格発表の時も泣いたのに、これ以上泣いたって知られたら恥ずかしい………!)

そう思い、優葉は優葉なりの言い訳を考えたが。






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