君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「………ふーーーん? マスクもしてない先生が花粉症、ねぇ。 それはそれは、お大事にね?」

そう言い、まるで和泉は何もかも見透かしているかのようにニヤリと笑う。

(しまった………! 絶対、気づかれてるし、からかわれてる………!)

「………っ、もう! からかわないで!」

「何が? お大事にって言っただけじゃん」

「っ、だから、瀬名君の全てが私をからかってるの!」

「何それ? 意味通るように日本語喋ってくれる?」

「〜〜〜ッ!!」

「ハハッ」

和泉は、優葉が真っ赤に顔をそめ、反論し続けようとしていることに対しとても愛らしさを思えた。

(………本当に、ここに入学して良かった)

そしてそれと同時に、優葉をここまで喜ばせられたことや、彼女と一緒に大学生活を送れることに和泉はこの上ない喜びを感じていた。

その時ーーー

「………優葉! こんな所にいたの?」

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