君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「は、はい。 もちろんです」
優葉は半端、関本の勢いに押され、そう頷いていた。
「ありがとうございます。お伝えしたかったのは………その。和泉さまのことでして」
「………瀬名君のこと、ですか?」
「ええ。元々、和泉様は冷たくぞんざいに、どの人も扱っておられました。
もちろん私の事も、まるっきり興味がなかった。同じ場所おりますのに、会話も、視線さえも合うことは無かった」
「お察しします………」
関本の言葉は優葉に和泉と初めて川野スクールで会った時の事を鮮明に思い出させ、同時に優葉の胸を痛めた。
ーーー誰も寄せ付けない、氷のような冷たい雰囲気と射るような瞳。
それが、和泉だった。
「しかし………、この頃、和泉様は変わられました。
私の身の上話を聞いてくれるようになり、私が離婚をして大学生の娘を一人で育てている事を知ると、娘の学費のたしになるようにと、旦那さまに私の時給を上げるように提案してくださいました」