君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

しかし………

「………あれ?」

優葉はその瞬間、手元に自分のスマートフォンがないことに気が付いた。

「あ、そっか………。 瀬名君の車に置いてきちゃったんだ………」

そう思い、和泉の元へ行こうと優葉が踵を返した時だった。 

「ーーー笹原先生?」

「あっ」

そこには、ちょうど飲み物を運んできた杉本がいた。 

「どうかされましたか?」

「私、瀬名君の車の中にスマートフォンを忘れたみたいで………、鍵を借りれないか聞こうと」

「あら、そうでしたか」

「はい。 飲み物、ありがとうございます。これを瀬名君の部屋に運んでから行きますね」

そう言いながら優葉は、関本から飲み物が載せられたトレイを受け取ろうとしたが。

「あ、あの! 笹原先生」

「はい?」

「一つ、伝えたい事があります。 お時間はかけませんのでお話できませんでしょうか?」

関本がそれを言葉で制止した。
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