君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「ですので………、 笹原先生。 ありがとうございました」

そう言い、関本は丁寧に頭を下げた。

「っ、そんな! 私は何もしていないです! ただ、先生として生徒の気持ちに真剣に向き合うことを何より大切にした………。 それだけですので! ですからお顔をあげて下さい」

優葉が慌てたようにそう言えば、関本は頭を上げ、笑みを浮かべた。

「それだけ、のことが和泉様を救ったのですよ。 いえ、和泉様だけじゃありませんね。 

和泉様の止まっていた時間の中にいた人々………、旦那様に奥様に、ご友人。

その全ての方と和泉様の時間を、あたたかな光と共に動かしてくれた。

その大きさをあなたには分かって頂きたく、お話ししたところです」

「関本さん………」

「笹原先生。 ーーーぜひ、先生になってくださいね。 

そして………もし、何か悩みがあるのでしたら、今度は和泉様に頼ってみてはいかがでしょう?」

「えっ?」

「今の和泉様は大切な方たちを。………笹原先生。 あなたを守れると、そう思います」




< 459 / 660 >

この作品をシェア

pagetop