君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
8. 砕かれた心

【もし、君が傷を負うなら】


………目眩がする。

立っていられないーーー。


「………! 優葉!!」

後ろに倒れようとした優葉を、小春は急いで支えた。 

そして今しがた、娘に質問攻めにしていた記者らを睨みつけた。

「あなたたち、 非常識ですよ!! 娘はただの一般人です!! それが、家まできていきなり質問攻めにして………、記事が書ければ、他人のプライバシーにズカズカ踏み込んでいいっていうの!?」

「いやぁ、でもお母さん、我々も仕事でしてねぇ」

小春の怒りに構わず、一人の男性記者はニタリといやな笑みを浮かべながらそう言った。

小春はその笑みを見た途端、更に苛立ちを覚え

「じゃあ、私も娘を守るのが母としての務めです!! いいから、ここから今すぐに去ってください!! 住居侵入で警察呼びますから!! いいですね!?」

そう叫べば、ドアを乱暴に閉め鍵をかけたのだった。
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