君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

(くそ………。 一番最悪な状況になりつつある。 なぜこのタイミングで………)

斉木は頭を痛めた。

紛れもなく李人は、俳優として不動の地位を確立しようとしていた。

誰もが目を見張る、少女マンガのヒーローのような柔らかな雰囲気の美貌。 

一人前の俳優になるため、朝晩努力を惜しまずオーディションや、稽古に通い、ひたすらに役柄を求め、全力でなりきる粘り強さ。

それだけでなく、演出家、監督からADまで仕事の上下問わずそつなく相手が気持ちのいいコミュニケーションもとれる。 

ファンのこともとても大切にし、女遊びも無縁だった。

その全てが………俳優として"完璧"な存在。 

それが、李人だった。 

そして、その李人をスカウトした日からその仕事や人柄に惚れ込み、必ず李人を日本一の俳優にすると誓った。 

(それが………)

斉木はもう一度、李人に視線を寄せた。


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