君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

『………先生は、それでもアンタに会いたがってる。 だからアンタも色々あるんだろうけど、先生に会ってあげて。 それは………アンタにしかできないから。 ………じゃあ』

そう言って、和泉は電話を切った。

(………これで先生が少しでも元気になるといい。 橘 李人に言いたいことを全てぶつけてもらって、今の状況を少しでも良くできれば)

和泉はそう切に願うのだった。 


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「やっと………、やっと会える。 李人君………」

そのような和泉の行動を知らない優葉はただ、李人に会えることに嬉しさを感じていた。

世間に自分たちの関係が晒され、イトコだということで関係を否定されている。

更に、晴夏がこの件に関わっているかもしれない………。

優葉はその全てがまだとても不安で仕方がない。

その精神状態もけして、安定しているとはいえなかった。 

しかし、それでも李人に会えると分かっただけで目に見える世界が明るくなる。







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