君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

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小春の言葉が気になりつつも、今は優葉のことが最優先だと思った和泉は、それ以上特に聞かなかった。

そして、小春から教えてもらった李人の携帯番号に電話をかける。

鳴り響く呼び出し音はほんの数分だっただろうが、やけに長く思えた。

"留守番電話に接続します"

やがて聞こえたその無機質な知らせに、和泉はため息をついた。

(本当は直接話す方が良かったんだけど………、仕方ないね)

ピーと音が流れ、和泉は話し始めた。

『橘さん。 瀬名です。 瀬名 和泉です。 俺のこと覚えているか分からないけど。 連絡先は先生のお母さんから教えてもらったよ。
時間がないから手短に話させてもらう』

『先生は記事に相当ショックを受けてる。更に最悪なことに記者に追いかけ回されたり、大学の知り合いが今回のことに関わってるかもしれないと分かってかなり精神的にまいっていた。………そして、倒れたんだ』


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