君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
部屋に、優葉と共に入った李人は息をついた。
(………この部屋なんだな)
大体、予想はついていたものの………和泉に優葉のことで牽制した日の部屋の間取りと同じだ。
(あの時は………思っていた。 絶対に、優葉を瀬名 和泉には渡さないと。 ………いや、他の誰にも渡さない。 傷付けさせはしないと………思っていた。 ………けど)
李人は、これから起こるであろうことを想像し、あまりの皮肉に思わずフッと顔を歪めた。
「………李人君?」
そんな李人を優葉が不安げに見つめる。
李人はハッとし、改めて意識を今から言うことに集中させる。
(………駄目だ。 一つでも、集中を切らせば………本音がでる。
ーーー俺が、一番望んでいること。
けれど………優葉が一番、傷つくだろうこと………)
李人はそう思い、一度、優葉から目を晒し全神経を高める。
一世一代の………舞台に上がるために。
「………そこに、座って。 優葉」