君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

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やがてワゴン車は"Nロイアリティーホテル"に到着した。 

他の宿泊客から姿を隠せるよう、従業員用の地下駐車場へ行き、そこに車を停める。 

すでにホテルの支配人らしき男性が一人立っていた。

「お待ちしておりました、 橘様」

「お久しぶりです。 今日は無理を言って、申し訳ありませんでした」

「いえいえ。 他の従業員は皆、 他の仕事で出払っております。 今のうちに、従業員専用の入り口からお入りください。 エレベーターはそのすぐ傍にあります。 最上階の6階、615室がお部屋になります。こちらが鍵になります」

「改めまして、ご協力感謝します」

そう言い李人は頭を下げると、急いだ様子で優葉の手を取った。

「………行こう、優葉。 俺たちのために全て手配してくれたんだ。 だから、誰にも見つからないうちに」

「あ、 う、うんっ………。 ありがとうございました!」

優葉もそれにつられ、急いでホテルの支配人と斉木達に頭を下げたのだった。
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