君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「ーーー優葉。 知ってるよね? 俺が俳優として今の位置にくるまでにどれほど苦労したか。 なのに、こんなことになって………正直に言って困ってる」

「ッ、ごめ………んなさ」

「謝って済むことじゃない」

「ーーーッ!!」

更に追い討ちをかけた冷たい李人に、優葉は完全に言葉を失った。 

喉の奥があつく、 身体は足がガタガタと震え………何も考えられない。 

それほど、今、目の前の李人は氷のように冷めた表情だった。


「………だからさ。 優葉」

「………」



「ーーー俺と別れて?」


ーーーそして、言われた言葉は………


今までの優葉の時間を李人が心の底から拒否するあまりにも残酷なものだったーーー。 


しかし、何よりも優葉の心をえぐったのは、 それを李人が笑顔でいとも簡単に言ったことだった。


(な、………んで。 どう………して………)


「そんなにっ………笑えるのっ………?」
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