君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

李人との別れもまだ全く受け入れられていない。
それでいての、この仕打ちはやはり相当傷つくものだった。

(それでも、こうして大学に行く勇気を持てたのは………)

「笹原先輩」

その声を聞いた途端、優葉は今までの暗い空気とは違い微笑んだ。 

「ーーー瀬名君」 

講義が終わった後の教室。 和泉は辺りを見回し、人気が少なくなったところで優葉を迎えに来た。

変に、優葉がまた新たに噂を立てられないためだ。


(瀬名君がいつも大学で顔を見せてくれるから………、私も安心して復学する勇気が持てた)

更に、以前優葉が和泉の教師だったとバレないよう"笹原先輩"と言ってくれ、細心の注意を払ってくれている。  

優葉はーーー、和泉が今、優葉にしてくれている全てに救われているのだ。 

「お疲れ様、先輩。 ………良かった、今日もいて」

そう言い和泉は心から安堵したように微笑む。

その微笑みは、一段と美しくーーー優葉も、同じ教室にいた女子学生たちも、一瞬で引きこまれる。


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