君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
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瀬名邸を訪ねた数日後。
「優葉!」
昼間、何も無く、家でテレビを観ていた優葉に李人は声をかけた。
「李人君っ?」
「やっと見つけた。 ………最近、会えなかったからどうしてたかと思って」
「あ………」
(確かにテストや、瀬名君の事があったりで………忙しかったかも)
「ごめんね。 色々立て込んでて………」
「謝る事じゃないよ。俺こそこの前、折角会おうって言ったのに、撮影でダメにしたし………ごめん」
李人は悲しげな顔をした。
「そんな………!私、李人君が憧れてた俳優業を沢山やれてるのは凄いって思ってるよ! だから、どんどんして欲しいって思ってるの!
だから………そんなに落ち込まないで? 私は大丈夫」
(確かに、李人君が埼玉にいる間、会いたいけど。
けれど………、同じ位、李人君の仕事も応援したい)
そう思った優葉は、笑顔でそう言った。 その姿に李人はまた心打たれる。
「………ありがとう。 そう優葉に言われたら、俺は頑張れる」
(………昔から、俺の事を心から応援してくれているのは優葉だけだ。 だから俺は………)